人気ブログランキング | 話題のタグを見る

奴隷状態からの脱却は……


by meisou22

世相のウラを読む(242) 日本から病院が消える!

 週刊プレイボーイ4月28日号を見て欲しい。衝撃的な記事が掲載されている。だが、これは昨日今日起った現象ではない。多発する医療事故、一向に減らない癌・糖尿病などの生活習慣病、救急患者の病院のたらい回し、麻酔科医師の極端な不足、小児科と産科医師の減少、地方病院の閉鎖と救急医療体制の崩壊等々。最も深刻なのはいまだに起っている薬害なのであり、それに加えて、後期高齢者医療制度改革と療養病床の大幅削減である。一体この国の医療制度はどうなってしまったのか。
 ひと昔前まで、子供を将来何の職業に就けたいか、という親の望みは医師がダントツであった。年収は最低でも3500万以上、嫁は断りきれぬほど申し込みがある。趣味にン千万かけても、誰も文句は言わない。豪勢な家と車。
 それが今はどうか。この記事によると、余りの仕事の過酷さにどんどん医師が逃げ出している、という。中には過労死したり自殺者まで出ている。メディアは病院の事故や患者のたらい回しは報道するが、その原因がどこに有るのかは追求しない。現象のみを追いかけるいつもの姿勢に終始している。日本の報道機関の底の浅さは目を覆うものがあり、わが国のメディアは思考力を失った、とさえ言えよう。最近、医療マフィアという言葉が存在感を増している。この言葉は医師の不道徳を表したものではない。医療を食い物にして暴利を貪る国際金融資本の暗躍を衝いた言葉である。当然製薬会社の利権や医療保険制度の改悪も含まれる。その陰では、民主主義と資本主義の皮を被ったバケモノが蠢いている事を誰も知らない。アメリカの悲惨な医療現場を見よ。
 文藝春秋2008年2月号に経済学者の菊池英博氏が重大な論文を寄稿している。事の原因はすべてコイズミ改革に端を発する「財政構造改革」にあると。小泉首相の政策の根本は超がつくほどの緊縮財政であり、小さな政府、道路公団と郵政の民営化に象徴される構造改革であった。その手法は「国民が増税を言い出すまで歳出を徹底的に絞れ」という小泉首相の言葉に表れている。これが実行されたのは道路事業に象徴される公共事業の削減である。ところが、メディアの公共事業費削減の大合唱のウラで、様々なところから社会が崩壊を始めている事には口を噤んだままだ。つまり、昨今の医療の崩壊、日本から病院が消えるという現象は、公共投資費の削減に決定的な根本原因が存在するのである。国民は今こそ目を覚まさなければ、この国の将来はない。
by meisou22 | 2008-04-18 23:56