世相のウラを読む(258)  国連至上主義の問題点

   最近、とても奇妙な事に気が付いた。それは、森田実氏のホームページを読んでいた時の事の、読者の質問についてだ。多くの読者が国連について何の疑いも持っていない事実だ。氏は日頃から民主党小沢党首の「国連決議至上主義」を痛烈に批判しておられ、国連決議至上主義を容認すれば、日本は大変危険な状態に陥ってしまう、と。これはしごく当たり前な指摘である。なぜなら、日本には第一義的に平和を謳った日本国憲法が存在し、それも戦争を放棄した徹底した平和憲法であって、国民が自ら議決した民主憲法であるからだ。これとは逆に、現在国連の存在意義を規定している「国連憲章」なるものは、第二次大戦後の戦勝国が自国の利害を絡ませながら生まれた、いわば妥協の産物であり、当然敗戦国であった日本の事情はまったく考慮に入れられていない。その国連について、我々日本人は戦後どういう教育を受けて、どういう価値観で自分の意識の中に取り込まれてきたか。そういう事を自省的に考え直してきた日本人は極めて稀にしか存在しない。よく、日本国憲法はアメリカ占領軍が戦後のドサクサに紛れて日本人に押し付けて成立したものだ、と言われてきた。我々の子供の頃、そういう議論が街の大人の間でされていたのを思い出す。しかし、それは真実だろうか。反面、国連については殆ど、というかむしろまったく無批判に平和の象徴として、無邪気な子供の時代に学校で教えられてきた。これを読んでいるあなたに訊こう。あなたは国連が平和の象徴である事に子供の時に疑問を持った事があるだろうか。恐らく、100%の人が学校で教えられた通り、まったく疑問のひとかけらも持たず、国連は平和の象徴である、と自信を持って答えるだろう。だが、ここで良く考えてほしい。いったいあなたは何の証拠があってそうはっきり答えられるのだろうか。本当は証拠なんて何にもない。学校でそう教えられただけの事だ。いわば刷り込みに過ぎない。国連が理想の平和追及の組織ならとっくの昔に世界平和が実現しているはずだ。
で、奇妙に思ったのはその事に関してだ。森田氏あての質問に、国連決議至上主義はなぜいけないのですか、という質問の言外に、国連は人類の平和を無条件に目指しているではないですか、という指摘が見え隠れしている。だが、よく調べて見て欲しい。国連憲章のどこにも「無条件」という言葉も、絶対に武力を行使しない、という言葉もない。つまり、国連といえども、時と場合によっては戦争もするし、人殺しもする、という事だ。現に国連軍という名称の軍隊も存在し、多数の庶民を殺害する事件が起きている。国連は平和の象徴である、というのはまったくのウソである。もっと言えば国連が陰でどんな行為をしているのか、皆さんは、というよりほとんどの国民は何にも知らない。これこそ究極のマインドコントロールの罠である。私たち日本人は、戦後、戦勝国の言い付け通り、小学校時代の何も分からない時から、国連は平和の象徴だと教えられ続け、耳にタコが出来ている。実は、私はここ10年余り、まっ先に疑問を持ったのはこの事だった。なぜ世界中がこんなに平和を希求していながら、いつまで経っても戦争がなくならないのだろうか。無残な庶民の虐殺がなぜ連綿と続いているのか。いったいなぜなのだろうか、と。
森田氏は政治評論家の中では最も正論に近い発言を日頃からされている。そんな中、小沢氏の唱える「国連決議至上主義」の危険性を指摘しておられるのだ。事実まったくその通りである。もっと言えば、国連とは一体何者なのだ、という厳正な検証が日本では全くなされず、それこそ押し付けられた価値観で多くの日本人が国連至上主義を唱えている。その事実は、森田氏に対する質問に如実に現われている。この国連至上主義という危険性は日本人に取って計り知れない損失をもたらす可能性が高い。アメリカによるマインドコントロールの恐ろしさを知る筆者にとって、森田氏に対する多くの日本人の素朴な質問は、極めて多くの日本人が陥っている陥穽(わな)だと思う。
日本はここに来て、もはや今まで以上の過ちを繰り返すわけにはいかない。いわば瀬戸際に立っている。こういう時に、多くの日本人が無知なまま、間違った選択をする訳にはいかない。今の自民党政治は行き詰まっている。次の総選挙に、自民党という選択肢は存在しない。しかし、だからといって「国連至上主義」を大儀名分に掲げる民主党の小沢氏に政権を託するのは、別な危険性を孕んでいる。アメリカ追随外交の罠は見破った。しかし、次なる罠が待っていようとは、まだ殆どの国民は気付いていない。聞くところによると、日本人は正確な戦後の歴史を学んだ事がない、とも言われている。だが、この指摘は日本人にだけ当てはまるのではない。世界中の子供が勝ち組の論理に偏った歴史を教えられている。
目覚めよ、日本人! 今、あなたたちの目の前では新しい世界の歴史が始まろうとしている。だが、注意しなければならないのは、よく似た別な欺瞞も隠されている事だ。選択はこれからである。どの道を選択しようと自由だが、真実は一つしか存在しない、のも本当のことである。  

〔参考〕  国連憲章・前文
われら連合国の人民は、われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し、正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること、並びに、このために、寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互に平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。
 よって、われらの各自の政府は、サン・フランシスコ市に会合し、全権委任状を示してそれが良好妥当であると認められた代表者を通じて、この国際連合憲章に同意したので、ここに国際連合という国際機関を設ける。
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by meisou22 | 2008-08-29 17:15