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奴隷状態からの脱却は……


by meisou22

世相のウラを読む(268)ビッグ3はなぜ経営危機に瀕したか


 アメリカの自動車産業が存亡の危機に立たされている。10月に起きたアメリカ発の金融危機のせいだ、ほとんどの人はそう思っている。だが、それは間違っている。その説は単に結果論でしかない。本当の原因は石油利権に寄り掛かって、真に人類に貢献する車作りの努力を怠ってきたからである。
 ここに一般人のまったく知らない事実を書いた本がある。ケイ・ミズモリ著「超不都合な科学的真実」(徳間書店:刊)である。この本に「誰が電気自動車を殺したのか」という項目がある。アメリカの自動車業界は燃費に優れた日本車の攻勢と、カリフォルニア州などの排ガス規制に対処した車を緊急に開発する必要があった。今から約10数年前の事だ。そこで遅ればせながら米自動車業界も電気自動車の開発に本腰を入れ始めた。実は車の歴史はガソリン車よりもモーターで動く電気自動車の方が早いのである。水よりも安いタダ同然の石油を使った方がコストも動力源確保も簡単で安上がりだったから自然にガソリン車が生き残っただけだ。もともと電気自動車の開発は順調だった。すぐにガソリン車を凌ぐ性能の車が完成しつつあった。ところが、邪魔が入った。石油利権で世界を動かしていた権力者たちが、圧力をかけて電気自動車開発を潰したのだ。石油利権が政治を動かしたのである。この辺の経緯はこの本を読めば良く分かる。リース契約は打ち切られ、電気自動車の有り余るメリットは揉み消され、回収された電気自動車は叩き壊され、瞬く間に市場から完全に姿を消してしまった。一般ユーザーは何も知らされず置き去りにされ、利権のみが優先されたためである。結果は何を生んだか。10月に発生した世界同時金融危機が新車購入者を直撃した。その前に世界的な金余りによる投機と石油不足によってガソリン価格が暴騰している。挙句には食料をもバイオ燃料に転用する温暖化対策という苦肉の策も取られたが、温暖化防止にも石油高騰にも、つまり何の役にも立っていない。そして当然の帰結として突然車が売れなくなった。恰も不況によって車が売れなくなったかのように誤解されたのだ。我々は儲からない産業は潰れるという古臭い真実を思い出さなければならない。BIG3の危機はこれを如実に表している。
だが、ここに来て事情が大きく変わり始めた。金儲けが人類社会を破壊し得る事に人々が気付き始めたのだ。自動車が将来生き残るためには、化石燃料を使用せず、環境を破壊せず、金儲けでない車作りが可能になった時だけである。
by meisou22 | 2008-12-15 11:32